誰もが学びをあきらめないプロジェクト報告

YMCA学院高等学校は、

「誰もが学びをあきらめない Spirit(精神)・Mind(知性)・Body(身体)を

育むヘルスケアの実践」の計画が認められ、大阪府より支援校として選出されています。

その具体的なプログラムの1つとして「オンラインでのからだづくりプロジェクト」です。

キャプチャ.PNGウエアラブルデバイス写真01.jpg

(背景)

本校には、起立性調節障害(OD)の生徒が多数在籍しています。

起立性調節障害(OD)は自律神経による循環調節(とくに上半身、脳への血流低下)が障害され日常生活が著しく損なわれ、長期に及ぶ不登校状態やひきこもりを起こし、学校生活やその後の社会復帰に大きな支障となっています。有病率は軽症例を含めると中学生の約10%。好発年齢は10~16歳、不登校の約3-4割はODを併存すると言われています。新型コロナウィルス蔓延からくる外出自粛のために、対象生徒の多くが、『デコンディショニング(*1)』が悪化し、特に脳への血流が低下している。症状に悩む当事者と保護者の生活不安は大きいです。

*1 何らかの原因によって、身体機能の低下や体調の不良が生じること

(ねらい)

①生活習慣リズムを保つことや特に下肢に力点を置いた活動量を増大させること。

②体調により外出することに困難を感じる生徒が多いことからオンラインアプローチ
 からリアルアプローチとなる介入を行うこと。

③対象者がSSTを通じて楽しみながら体を動かすことの喜びを知る、自己効力感をバランスよく向上させ、体調不安があっても学びをあきらめない意識を高めること。

(実施概要)

○参加者 

  起立性調節障害生徒および予備軍/YMCA学院高校 1年~3年

○実施期間(*オンライン)
  令和4年6月3日~令和5年3月10日 週に1度

○活動場所
  生徒自宅(オンライン)、学校、大阪城公園

(実施のポイント)

○有識者と教職員で構成する推進委員会を設置し、対象生徒理解とプログラム留意点、構成及び自己肯定意識調査等の調査方法や必要物品等の検討を行い、専門的見地からの指導・助言を関西医科大学より受けました。

○事業を大きく3つの段階に分け、各プログラムの体系的な
  実施、各段階ごとのねらいの設定を行い実施しました。
 <目標値> 活動量・下肢筋力共に開始時より105%の向上。

 <第1段階> 健康プログラムへの参加意思の確認。
 <第2段階> オンラインによる家庭で出来る遠隔プログラム
       「運動と基礎知識学習」指導(仲間づくりⅠ~Ⅲ)
 <第3段階> リアル集合プログラム(仲間づくりⅣ)

○参加者の自己効力感の変容を調査するため、「成人用一般性
セルフ・エフィカシー尺度」用いた調査を行いました。

あわせてウエラブルデバイスを用いて活動量(歩数)の変容、

CS-30による脚筋力の変容の測定調査を行いました。

(成果)

① 客観的評価 
 「CS-30」(筋力測定)
   プログラム開始時と終了時とでは参加者平均137%の増加が見られました。

 「歩数変化」(活動量測定)
    プログラム開始時と終了時とでは参加者平均121%の増加が見られた。
   活動不足であったものが家庭内でも体を動かす機会が増加しました。*主観的評価同様

②主観的評価「セルフ・エフィカシー尺度」

   統計手法はWilcoxson順位和検定

   *現在解析中

③参加者感想
  ・体調の悪い日が参加する前より減った。
  ・体を動かすことが習慣になり、プログラムがない日でも体を動かすようになった。
  ・オンラインでも交流できる場があって嬉しいなと感じた。
  ・今回、同じ不安を抱える人と、進路のこと体調のことを話せ、少し心が落ち着いた。

以上